日本語gTLDラベルに関するルールを検討するパネル「JGP」の設立をICANNが承認
2015年3月18日
2015年3月10日、「日本語生成パネル(Japanese Generation Panel: JGP)」の設立がICANN(The Internet Corporation for Assigned Names and Numbers)により承認されました。JGPは、日本語のgTLD(generic Top Level Domain)ラベルに関するルールをICANNに提案することを目的としたもので、議長をJPRSの堀田博文、副議長をJPNICの前村昌紀とし、初期構成メンバーとしてIDNに関する8名の専門家が名を連ねています。
gTLDラベルに関するルールとは
2012年1月に募集が開始された新gTLDプログラムでは、gTLDのラベル(○○○○.TLDのTLD部分)として英数字以外の文字を用いた国際化ドメイン名(Internationalized Domain Name: IDN)の提案も認められています。実際、今回の新gTLDプログラムでは、1,930件の新gTLD提案のうち、IDN gTLDラベルの提案が116件ありました。
今回の新gTLDプログラムでは、利用者の混乱につながる新gTLD創設を避けるなどの目的で、申請されたラベルごとに人手による審査と承認がなされました。たとえば、見た目や意味が類似する文字列のTLDを複数認めることは混乱につながるため適切でないという考えに基づいた審査が行われました。たとえば、「.国語」と「.國語」の両方が全く別のTLDとして使用されることは混乱につながるという見解もあります。
今回の経験を踏まえ、新gTLDプログラムを進めているICANNでは、2016年以降に予定されている次回のプログラム開始に向け、TLDラベルの適切さに関するより明確なルールを定めようとしています。その一環として、TLDラベルとして使用可能な文字列か否か、利用者を混乱させる文字列か否か、などを可能な範囲で自動的に判定できるようなルールを定めようとしています。このようなTLDラベルの自動判別に適用されるルールをRootLGR (Root zone Label Generation Rules)と呼びます。
RootLGRを作る体制とJGP
ICANNではRootLGRを検討するプロジェクト(*1)を作り、その検討体制を定義(*2)した上で体制の構成要素となる組織を募集(*3)し、具体的な検討を開始しています。体制は、以下の2種のパネルから成ります。
- 言語ごとに存在し、各言語のgTLDラベルが満たすべきルール(LGR)を作成する「生成パネル」
- 言語ごとに作成されたLGRを統合し、唯一のRootLGRを作成する「統合パネル」
この活動の一環として、日本のIDNの専門家有志が2014年8月より日本語gTLDラベルに関する検討を開始し、日本語LGRを検討・作成する生成パネル「JGP」の設立を2015年2月6日付でICANNに提案していました(*4)。その提案を受け、2015年3月10日にICANNがその設立を承認しました。今後、JGPが日本語LGRに関する正式提案をICANNに対しに行うことになります。
他の生成パネルとしては、アラビア語生成パネル、中国語生成パネル、アルメニア語生成パネルがすでに設立され活動しています。また、それら以外の言語に関しても、各言語用LGRの検討と生成パネル設立準備が進められています(*5)。
JGPと他の生成パネルの関係
TLDラベルの場合、さまざまな言語のラベルがルートゾーン(Root Zone)という一つのドメイン名空間に同居することになります。例えば、「国語」は中国語としても日本語としても成立するため、もし「.国語」というTLDがあった場合、それが中国語のTLDなのか日本語のTLDなのかは区別できません。このため、TLDラベルに関しては、使用されるすべての言語をカバーする唯一のRootLGRが必要になります。特に、漢字については漢字を共通して利用する中国語、日本語、韓国語の各生成パネルが協力・協調して、統合可能な言語用LGRを作成することが必要になります。
今後の予定
JGPでは、中国語生成パネルや韓国語生成パネル、及び統合パネルと連携しつつ、日本語LGRの検討を進めています。現時点では、2015年夏に日本語LGRの提案をICANNに提出することをめざしています。ICANNへの提出に先立ち、中国語LGR及び韓国語LGRと統合可能な日本語LGRの案がまとまった時点で、広くご意見を募集する予定です。また、現在、JGPの構成メンバーは8名ですが、今後も検討の状況に応じてメンバーを追加して検討を進めます。
JGPの活動は、Webサイトにて公開しています。
また、JGPに関する各種お問い合わせは、下記までお願いいたします。
日本語生成パネル事務局 : info@j-gp.jp
参考
(*1)Root Zone LGR Project
https://community.icann.org/display/croscomlgrprocedure/Root+Zone+LGR+Project
(*2)Procedure to Develop and Maintain the Label Generation Rules for the Root Zone in Respect of IDNA Labels
https://www.icann.org/en/system/files/files/lgr-procedure-20mar13-en.pdf
(*3)Call for Generation Panels to develop Root Zone Label Generation Rules
https://www.icann.org/en/system/files/files/call-for-panels-lgr-11jul13-en.pdf
(*4)Proposal for Generation Panel for Japanese Label Generation Rules for the Root Zone
http://j-gp.jp/%E8%A8%AD%E7%AB%8B%E6%8F%90%E6%A1%88%E6%9B%B8?action=AttachFile&do=view&target=JGP-proposal-submit.pdf
(参考訳)ルートゾーンにおける日本語ラベル生成ルールに関する生成パネルの提案
http://j-gp.jp/%E8%A8%AD%E7%AB%8B%E6%8F%90%E6%A1%88%E6%9B%B8?action=AttachFile&do=view&target=JGP-proposal-japanese.pdf
(*5)All Panels Status Update
https://community.icann.org/display/croscomlgrprocedure/All+Panels+Status+Updates
技術用語等の意味については、たとえば次のページをご参照ください。